保険料と徴収のしくみ

 健康保険に加入すると、保険料を納めることになります。
 保険料は主として、「医療(給付)費」や国への納付金等の義務的経費、その他の保健事業などに充てられる「一般保険料」と国の介護保険(事業)の運営のため、40歳以上からの徴収が義務付けられている「介護保険料」があります。
 また、健康保険組合では上記「一般保険料」と併せて、全健保組合の再保険(共済)事業を実施するための「調整保険料」を徴収しており、これらを合算して「(健康)保険料」と呼んでいます。
 「(健康)保険料」は毎月の報酬、賞与の支給月ごとに徴収されますが、保険料の計算方法は、毎月の報酬については、被保険者ごとの報酬区分に見合った額(標準報酬月額)に当健保組合が定められている「保険料率」を乗じて算出します。賞与についても計算方法は同様で、賞与額の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に「保険料率」を乗じて算出します。

保険料の計算方法

毎月納める
保険料
標準報酬月額
×
保険料率
賞与から納める
保険料
標準賞与額
×
保険料率

 健康保険では、被保険者と事業主が、毎月と賞与の支給月に、収入に応じた保険料を納めます。毎月の報酬については、各被保険者の報酬を段階的に区分された仮の報酬にあてはめ、その額をもとに毎月の保険料を計算します。この報酬区分を「標準報酬月額」といいます。(健康保険からの給付金(傷病手当金や出産手当金など)を計算するときもこの標準報酬月額が基礎となります。)
 また、年3回まで支給される賞与にも、支給額に応じた保険料の負担があります。賞与の1,000円未満の端数を切り捨てた額を「標準賞与額」とし、その額に保険料率を乗じた額を保険料として納めます。ただし、年度の累計額で573万円が上限となります。

松竹健康保険組合の保険料率

参考リンク
一般保険料率 介護保険料率
被保険者負担率 44.37/1000 9.5/1000
事業主負担率 55.63/1000 9.5/1000
合計 100/1000
(調整保険料率を含む)
19/1000
(40歳以上65歳未満の被保険者は負担)
コラム
Column
  • 保険料の決め方(標準報酬月額の決定)

標準報酬月額は入社時など被保険者資格を取得するときに決まりますが、それ以降は年に一度見直しが行われます。また、昇給などで報酬が大幅に変わったときも見直しが行われます。

保険料が決定・変更となるとき 決め方
資格取得時決定
就職したとき
初任給等を基礎にして決められます。
定時決定毎年7月1日現在の被保険者全員が対象 毎年、原則として全被保険者の標準報酬月額は、4月、5月、6月の月平均の報酬をもとに、7月1日時点で決め直されます。これを定時決定といいます。決め直された標準報酬月額は、9月1日から翌年8月31日まで適用されます。

保険者算定(年間平均)
定時決定時における標準報酬月額の差が業務の性質上で、毎年発生することが見込まれる場合には、申出により過去1年間(前年7月~当年6月)の月平均報酬額によって、9月以降の保険料を決定します。 ※詳細はこちらをご覧ください。
  • ※詳細はこちらをご覧ください。
随時改定
報酬が大幅に変わったとき
昇給等で、固定的賃金の変動があり、昇給月から連続した3ヵ月間の報酬月額の平均が昇給月以前の標準報酬月額と比べて2等級以上の差があり、支払基礎日数が3ヵ月とも17日以上(短時間労働者の場合は11日以上)ある場合には、4ヵ月目から標準報酬月額を見直します。これを随時改定といいます。
固定的賃金の変動とは具体的に、昇給、降給があったとき、役職手当・家族手当・住宅手当・通勤手当などの固定的な手当の支給額が変わったとき、日給や時給などの基礎単価が変わったとき、日給制が月給制に、月給制が歩合制になったとき、家族手当・住宅手当・役職手当などが新設され、支給されることになったときなどの変動をいいます。
  • ※毎月の給与として一定額が継続して支給されるもの(基本給、役職手当、通勤手当など)を「固定的賃金」といいます。また、実績などによって変動して支給されるもの(残業手当、休日手当など)は「非固定的賃金」といいます。
産前産後休業終了時改定
育児休業等終了時改定
産前産後休業・育児休業等が終わったとき
産前産後休業または育児休業等を終了して職場復帰した被保険者が、育児のための短時間勤務等によって、申出により、標準報酬月額を改定することができます。この改定を産前産後休業終了時改定および育児休業等終了時改定といいます。

改定には以下の条件が必要となります。
  • 被保険者が改定を申し出ること。
  • 業終了日の翌日が属する月以後3ヵ月のうち支払基礎日数が17日以上(短時間労働者は11日以上)の月が1月以上あること。
  • 各休業前の標準報酬月額と1等級差以上あること。

保険料の種類

健康保険の保険料には、一般保険料・介護保険料・調整保険料があります。各保険料は、標準報酬月額および標準賞与額に各保険料率を乗じて決められます。

一般保険料(基本保険料+特定保険料)

一般保険料は、主に健康保険の給付を行う財源となる保険料ですが、高齢者の医療を支援する費用をまかなうための財源にもなっています。高齢者に対してどの程度支援を行っているかをわかりやすくするために、一般保険料は、基本保険料と特定保険料に区分されています。

基本保険料:医療の給付、保健事業等にあてる保険料
特定保険料:後期高齢者支援金や前期高齢者納付金等にあてる保険料

一般保険料率は3%~13%の範囲内で、組合の実情に応じて決めることができます。事業主と被保険者の負担割合も、組合の実情により、自主的に決めることができます。

介護保険料

介護保険料は、介護保険にかかる保険料です。介護保険は全国の市区町村が運営する制度ですが、医療保険に加入する40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者の介護保険料は、各医療保険者が徴収する義務を負っており、健康保険組合で徴収します。

参考リンク

調整保険料

全国の健康保険組合は、高額医療費の共同負担事業と財政窮迫組合の助成事業(財政調整)を共同して行っており、この財源にあてるために調整保険料を拠出しています。

この保険料率は、基本調整保険料率0.13%に、その組合の財政に応じた若干の増減率(修正率)を乗じて決められます。

コラム
Column
  • 保険料は何のために使われますか?

保険給付のために

健康保険組合の目的である医療の給付や給付金の支給等、保険給付に使われます。あわせて保健事業にも用いられています。そのほか、健康保険組合相互の助け合いにも使われています。

高齢者等の医療を支えるために

保険料は健康保険組合のいろいろな事業の費用だけではなく、高齢者の医療を支援する費用をまかなうためにも使われています。後期高齢者医療制度等の高齢者の医療制度に対して、多額の支援金や納付金を拠出しており、高齢社会の進展に伴う負担の増大が、健康保険組合の財政を悪化させる大きな要因となっています。