家族の加入について
健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。
- 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
- 被扶養者の異動があった場合は速やかに届出をしてください。
家族の範囲
被扶養者となれる家族の範囲は、法律で決められています。さらに、同居・別居により、条件が異なります。
被保険者と同居でも別居でもよい人
- 配偶者(内縁でもよい)
- 子、孫
- 兄弟姉妹
- 父母など直系尊属
被保険者と同居が条件の人
- 上記以外の三親等内の親族
- 被保険者の内縁の配偶者の父母および子
- 内縁の配偶者死亡後の父母および子

収入の基準
被扶養者となるためには、「主として被保険者の収入によって生活していること」が必要で、同居・別居の有無、年間収入により判断されます。
同居している場合 | 別居している場合 |
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扶養認定対象者の年収が130万円(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること | 扶養認定対象者の年収が130万円(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円)未満で、かつ、その額が被保険者からの仕送額より少ないこと |
「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
- 参考リンク
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。
(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))
年収106万円の壁 | 従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。 |
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年収130万円(※)の壁 | 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。 |
- ※60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円
年収130万円の壁に対する対応
被扶養者認定は前年の課税証明書等の確認で行われていますが、人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。
(同一の者について原則として連続2回までを上限とします)
年収106万円の壁に対する対応
社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。
※社会保険適用促進手当
短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。
- ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
- ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
- ※最大2年間の措置。
家族(被扶養者となる方)の国内居住要件について
健康保険組合の被扶養者となるには、①「日本国内に住所を有する者」(国内居住要件)または、②「日本国内に生活の基礎があると認められる者」(国内居住要件の例外)という要件が必要となります。
「日本国内に住所を有する者」(国内居住要件)の判断は、原則、住民基本台帳に住民登録されている(住民票がある)かどうかで判断することになります。
また、②の「日本国内に生活の基礎があると認められる者」については、健康保険法施行規則第37条の2で下記のとおり定められており、認定にあたっては事由ごとに証明書類が必要となります。
日本国内に生活の基礎があると認められる者と認定に必要な証明書類
国内に生活の基礎があると認められる者 (例外該当事由) |
認定に必要な添付書類 |
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1. 外国へ留学をする学生 | 査証、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し |
2. 外国に赴任する被保険者に同行する者 | 査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書等の写し |
3. 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 | 査証、ボランティア派遣機関の証明、ボランティアの参加同意書の写し |
4. 被保険者が外国に赴任している間に被保険者との間に身分関係が生じた者 | 出生や婚姻を証明する書類等の写し |
5. 1~4のほか、渡航目的その他の事情を考慮し、日本国内に生活の基礎があると認められる者 | 個別事案ごとに判断 |
夫婦共同扶養(夫婦共働き)の場合における被扶養者の認定について
1 夫婦とも被用者保険の被保険者の場合には、以下の取り扱いとなります。
- (1) 被扶養者とすべき人数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多い方の被扶養者とします。
- (2) 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により主として生計を維持する者の被扶養者とします。
- (3) 夫婦の双方又はいずれか一方が「共済組合」の組合員であって、その者に被扶養者とすべき者に係る扶養手当またはこれに相当する手当の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者とします。ただし、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定はいたしません。
- (4) 被扶養者として認定しない保険者等(健保組合等)は、当該決定に係る通知を発出します。被保険者は当該通知を届出に添えて次に届出を行う保険者等に提出します。
2 夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合には、以下の取り扱いとなります。
- (1) 被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については、直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いづれか多い方を主として生計を維持する者の被扶養者とします。
- (2) 被扶養者として認定しない保険者等(健保組合等)は、当該決定に係る通知を発出します。被保険者は当該通知を届出に添えて国民健康保険の保険者に提出します。
3 主として生計を維持する者が育児休業等を取得した場合は、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととします。ただし、新たに誕生した子については、改めて認定手続きを行うこととします。
4 年間収入の逆転に伴い被扶養者認定を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者等が認定することを確認してから削除することとします。
被扶養者の異動(変更)があったら
結婚や出産等により被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡等で、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。なお、当健康保険組合では毎年、被扶養者の資格を確認するための検認を行っています。